中級者の為のボカロ曲紹介

中級者の為のボカロ曲紹介

マイナーボカロ曲を紹介しています。

第五回 ススムリクと夢傘下

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ボカロとUTAU

なんやかんやで第五回まで続けることができました。キリの良い5回目に合わせて、普段はボカロオリジナル曲をオススメしていますが、5の倍数と5の付く回数はボカロオリジナル曲以外の楽曲を取り上げてみます。

さて、ボカロ初心者が間違えやすい事の一つに「UTAU」の作品があります。

どちらも音階と歌詞を打ち込むと歌ってくれる音声合成ソフトなのですが、単刀直入に言うと、

ボーカロイド≠UTAU

であって、似て非なる物になります。

大きく違う点としては、ボカロはヤマハ社が開発した技術を、初音ミクなどの音声データを作成し各社で販売している商品に対して、UTAUは飴屋/菖蒲(あめや・あやめ)氏が配布している無料のソフトウェアになります。いわば有料か無料かですね。

歌声の制作過程はボカロもUTAUも似ていますが、以前に飴屋/菖蒲氏のインタビューで、

「ボカロを使う練習として、UTAUを使ってみても良いですか?」

という質問に、

「見た目は似ていますがシステムが全然違うので、練習するならボカロを使った方がだと思います。」

と答えていたのを記憶してます。

それともう一つの特徴が、フリーソフト故にソフトの性能に差が出てしまい、機械音の様に歌声が聴こえてしまうUTAUですが、歌声を自由に作成できる点。

ボカロは、初音ミクには声優:藤田咲の音声データ、鏡音リン・レンには声優:下田麻美の音声データという、一商品に一人の歌声しかありませんが、UTAUでは有志によって作成された音声データが数百種類以上あり、やろうと思えば自分自身の歌声で歌わせる事も可能です。(実際にボカロと自分の歌声のUTAUを使った作品もあります。)

 

以上、大きな違いとしては有料か無料か、音声データが1種類か膨大の種類があるか、の2点になります。

 

ボカロ中級者にステップアップするには、UTAUを嗜んでみるのも良いと思います。

性能的にも、作成も難しいUTAUを専門に楽曲を作成している制作者もいるので、敢えて不利な環境で素晴らしい楽曲を発表している方は尊敬に値します。

 

【閲覧注意】の魔曲

イヤーワームという言葉をご存知ですか?

音楽が頭の中で鳴り響いて止まらない現象で、耳(ear)の中でミミズ(worm)が音楽を流し続けている様をなぞらえた言葉です。

ボブ・ディランの「風に吹かれて」が有名ですが、特徴的なメロディやフレーズのある楽曲は、脳内再生が止まらないそうです。

 

そう、UTAUにもありますよ、イヤーワームが止まらない曲が。

UTAUを主に発表している、カステラの人Pこと「6510(ムジントウ)」氏の波音リツが歌うポップな一曲。

リズミカルなイントロやサビのメロディーは、一度聴くとイヤーワームが離してくれません!

特に女性はイヤーワームが苦手な人が多いというデータもありますので、覚悟のある方のみ視聴していただきたい、まさに【閲覧注意】の魔曲です。

 

第四回 Southern Cross

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高橋涼介のボカロ理論

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涼介さん!

上級者の定義がわかりません!

 

幻の一曲

南十字星を望む南国リゾート地で、愛し合う二人を歌った巡音ルカのトロピカルなハウス曲。

90年代のハウス曲を彷彿とさせる「agrooveP」氏の一曲。残念ながら原曲は削除されており、現在まともに視聴できるのが、氏の作品をノンストップメドレーにした上記の投稿くらいになります。

削除理由までは把握してませんが、楽曲の良さが広まる前に試聴できなくなった為か、検索をかけても中々作品がヒットしない隠れた名曲です。ノンストップメドレーでも、この曲をトップに持ってくるあたりがその一旦でしょう。

ちなみに2曲目の片思いの苦しさを歌った「I can't take it」や、5曲目の恋の喜びを綴った「Changed me」もオススメ!

 

「Southern Cross」での印象的なバイオリンの音色にリラックス効果があるのか、ジョギング中に聴くと心拍数がかなり抑えられるのは私だけかな?

 

第三回 HAPPY☆MUSIC

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初音ミクの功績(後編)

2007年に発売された初音ミクは、音声合成ソフトとしては異例の大ヒットを飛ばしました。

ヒットの要因としては、音声合成の性能の良さはもちろんですが、KEI氏の描く独特のキャラクターデザインが大きいと思われます。

萌えキャラを前面に押し出したソフトだから売れて、それが初音ミクの功績だと思われがちですが、私の考えは少し違います。

例えば、私が楽曲を作成してネットに投稿したとして、

【中級 者太郎】I love you【オリジナル曲】

というタイトルで、風景写真のサムネイルだったとしたら、多分1000人中1人見るかどうかと思います。

これでは楽曲が良くても、話題になる確率は非常に低いです。

しかしサムネが初音ミクのイラストで、

初音ミク】I love you【オリジナル曲】

というタイトルだったらどうでしょう?

「おっ、初音ミクの曲だ。」「かわいいイラストの曲、どんなだろ?」

と、2,30人に1人は動画を視聴するのではないでしょうか?

 

現在トップアーティストとして君臨する「米津玄師」氏。

彼もアマチュアアーティスト時代は無名に近く、音楽番組のオーディションでも2次審査で落選していたそうです。ニコニコ動画でもオリジナル曲を投稿していましたが、良曲でありながらもそこまで反響はありませんでした。

しかし2009年にボカロ曲を発表すると、徐々に注目を浴び始め、「結ンデ開イテ羅刹ト骸」「マトリョシカ」「パンダヒーロー」などヒット曲を連発し、本名でメジャーデビューしてからの活躍は説明不要でしょう。

いくら神曲を作曲できたとしても、一般視聴者の耳に届かなければ広まる事はありません。

つまり初音ミクの功績とは、無名のアーティストの作品が初音ミクというアイコンによって、視聴される機会を跳ね上げた事ではないでしょうか?

 

キラキラキュートなハッピーソング

シャララン♪ドゥタタン♬、とサビも心地良い、リンレンの二人が奏でるキュートなテクノポップ

楽曲制作は、透明感溢れる爽やかなポップスを得意とする、あルカPことM@SATOSHI氏。

100曲以上制作する程に曲作りが早く、殿堂入りやカラオケ配信曲に採用される一方で、曲数が多過ぎて良曲が埋もれがちになってしまう事も多い。

イントロからハジけるサウンドは、一気に惹き込まれる事請け合い!是非上記の動画の再生ボタンを押して堪能して頂きたいです。

第二回 十六夜越えて幾星霜

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初音ミクの功績(前編)

一昔前は我々の耳に音楽が届く機会といえば、TVドラマの主題歌やCMとのタイアップ曲、ランキング方式の音楽番組が主でした。

しかしその様な場で楽曲を聴いてもらうには、地道にライブハウスで演奏しスカウトの目に止まるか、オーディションなどに出て勝ち残るかなどしない限りほぼ不可能だと思われます。

世の中には音楽的な才能に恵まれていながら、チャンスに恵まれなかったアーティストが山の様に存在します。

しかし、2000年代に入り動画サイトが活発になった際、アマチュアアーティストが自由に自分の作品を投稿できる様になりました。 

そして2007年に音楽業界の変革を起こす「初音ミク」の登場となるのです。

 

・・・後編へつづく

 

舞い散る雪の様に

幻想的な歌詞の演出が印象に残る和風ボカロック。

若干ミクの歌声が聴き取りにくい難点はあるものの、激しいギターと荘厳な琴の音が印象に残る。

作者は、幻想狂気曲「いたいあたしあしたあいたい」で殿堂入りを果たした竹輪P。

後期はホラー気味の作品が多いですが、ジャズやワルツなど多岐のジャンルに精通した実力派です。

十六夜(いざよい)というフレーズをタイトルで使いたい動機で作られた楽曲。歌詞の内容も雰囲気でチョイスされたであろう言葉が並ぶ為か少し難解ですが、幻想に浸って頂きたい作品です。

 

第一回 ラブプラネット

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     画像使用ミルサ様「電脳愛」よりhttp://piapro.jp/t/lF2Z

中級者のススメ

2007年に「初音ミク」が発売されて以来、爆発的な盛り上がりを見せたボーカロイド。 世界的企業トヨタのCMで楽曲が使用されたり、毎年開催されるコンサートは超満員。ボカロ出身のアーティストがヒットチャートを賑わすことも珍しくなくなった昨今。

そんなボカロの楽曲を聴きまくっているあなた。

ひょっとして「千本桜」「いーあるふぁんくらぶ」等々の、超有名曲ばかり聴いて満足していませんか? 

確かに有名曲は完成度も高く、中毒性の高い曲ばかりですが、それで満足している様ではまだまだボカロ初心者。

日々楽曲が作成され続けているボカロ曲数は正確に把握するのは難しく、数十万曲あると言われています。その中でもキラリと光りながらもながら埋もれてしまった良曲を探す様になったら、ボカロ中級者と私は考えます。

このブログでは、そんな中級者に向けた隠れたボカロ曲を紹介していきます。

さぁ、皆さんで隠れたボカロ名曲を堪能していきましょう!

 

あなたに惹かれる超重力

ブラックホールに恋した小惑星の気持ちを模して歌ったテクノポップ。キラキラした曲調が片想いの心情を上手く歌い上げています。

作曲者のaquascape氏が2009年に発表されたこの曲は、トップページのミルサ氏のイラストと相まってスマッシュヒットを飛ばしました。しかしプロ活動に伴い、発表した作品を全て削除されてしまい、現在では再投稿されたシンプルな画像の楽曲のみになってしまいました。

楽曲の良さはもちろんですが、良曲と良画の相乗効果で「1+1=」が3にも4にもなる作品でしたので、試聴の際はミルサ氏のイラストも思い浮かべて堪能してほしい作品です。